関西中国書画
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関西中国書画展
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2011年1月15日から2月19日までの毎週土曜日、京都大学文学研究科主催により、市民講座

「関西中国書画コレクションと京都大学 −収集から一世紀、その意義を振り返る−」

が開催されました。(京都会場:大学コンソーシアム京都(JR京都駅前)4階 第3会議室、 東京会場: 京都大学 東京オフィス (品川インターシティ A棟 27階)

 当研究会はこの講座に協力という形で関与致しましたが、その主旨と講座要旨などの当ホームページへの転載許可を頂きました。 御参照くだされば「関西中国書画コレクション展」への理解を深めて頂けることと思います。
 以下、市民講座パンフレットより、「はじめに」と5つの講座要旨(役職は当時のもの)の転載です。


はじめに
 大正5年(1916)、京都帝国大学(現京都大学)の文学部東洋史講座の教授であった内藤湖南は、当時の清朝倒壊による文物の流出について、『美術画報』において次のように書き記しています。 「かの義和団の乱の折には、清朝御府の名品が夥しく出たが、其の後の革命では御府のものや親王家其の他大官連のものが、続々として市場に出た」。 そして、この文章に続けて「大抵は関西地方の好事家の手に納められて居る」とも述べています。 2011年は、辛亥革命(1911)からちょうど100年の節目に当たり、折しも、これら好事家たちの集めた中国書画を収蔵する関西の九つの美術館・博物館が一年強にわたって関係展示を次々に行う 「関西中国書画コレクション展」が催されます。 京都大学文学研究科では、この機会に合わせて「関西中国書画コレクションと京都大学」と題した市民講座を開催することになりました。 湖南を始め、神田喜一郎や富岡謙蔵といった京大関係者、あるいは京都大学と密接なつながりを持った長尾雨山、羅振玉など、 その収集に深く関わった人々の話題を中心に、関西のコレクションの成立とその豊富な内容を紹介します。


「上野コレクションと内藤湖南」
西上 実(京都国立博物館 学芸部長、京都大学 客員教授)
京都:1月15日(土)、東京:1月29日(土)
 京都国立博物館収蔵の中国書画の中核をなす上野コレクションは、朝日新聞社の創業者のひとりである上野理一(1848−1919、号は有竹斎)によって収集されました。 京都帝国大学教授の内藤虎次郎(1866−1934、号は湖南)が助言を行っており、筆墨の精神性を重視する中国文人の芸術観にもとづく系統的な内容となっています。 書聖王羲之の名拓「十七帖(宋拓)」や清の惲寿平「花隖夕陽図」などの多数の名蹟を入手し、関西の中国書画コレクターの先駆けとなりました。 京都国立博物館には、昭和35年(1960)に子息の上野精一氏により寄贈されました。 2011年には寄贈50周年を記念して「筆墨精神―中国書画の世界」(1月8日〜2月20日)を開催します。 この機会に、その優品と収集の過程や湖南との関係を紹介し、コレクションの意義を振り返ります。


「関西中国書画コレクションと京都学派」
曽布川 寛(京都大学 名誉教授)
京都:1月22日(土)、東京:1月29日(土)
 20世紀初めの中国では清朝が倒壊して大混乱に陥り、中国書画が大量に海外へ流出しようとしていました。 これを見た内藤湖南、長尾雨山、富岡謙蔵などの京都学派の面々は、東洋のものは東洋に残そうとのスローガンを掲げて、政界、財界、業界に働きかけ、関西を中心に中国書画を収集する大運動を巻き起こしました。 現在、関西の公私の博物館、美術館が収蔵する中国書画の名品の多くは、この時期に集められたものであり、鎌倉、室町時代に禅宗、武家を中心に収集された古渡りの中国書画とは性格を異にするものでした。 京都学派の人たちは、収集を指導するに当たって中国文化とは何か、その精髄をなす中国書画の本流とは何かを考えたのです。


「関西の美術館で楽しむ中国の書」
弓野 隆之(大阪市立美術館 主任学芸員)
京都:2月5日(土)
 中国から書蹟が請来された歴史は古く、その影響下に日本の書が、さらに遡れば日本の文字が形成されてきたことはいうまでもありません。 正倉院の御物をはじめ、各時代に流入した貴重な書蹟で現在まで伝承されているものもあります。
 しかし、国内の所蔵品に限っていえば、私たちが美術館・博物館で目にする作品や、書法を学ぶときの手本として用いる肉筆や碑帖の原本は、多くが近代以後にもたらされたものです。 関西では大正から昭和にかけて、京都大学の内藤湖南、漢学者の長尾雨山、東山に寓居した羅振玉らがブレーンとなり、多くの中国書画コレクションが生まれました。 この講座では書の名品を選んで、その伝来や見どころを紹介します。


「内藤湖南の書画論」
宇佐美 文理(京都大学 准教授)
京都:2月12日(土)、東京:1月29日(土)
 中国史学上に不滅の業績を残した内藤湖南は、芸術の面においても、見事に美しい書をものし、さらに絵画においては、透徹した歴史学的な眼を以てする絵画史の記述をなしました。 辛亥革命前後に新たに日本にもたらされた中国の絵画の豊富さを、「我邦だけで先づ十分に支那絵画史が作られ得るくらゐである」 と語ったのは他でもない湖南ですが、その舶載された書画について、すぐれた鑑識眼を持ったことでも知られ、それがこの時期の日本の中国書画コレクションの形成に与えた影響は多大です。 この講座では、湖南の絵画史に対する見解を中心に概観するとともに、「鑑識家はいかにあるべきか」について、とりわけ日本とのかかわりを中心とした湖南の発言を追いながら、鑑識家湖南の素描を試みたいと思います。


「関西の中国絵画の優品をみる −研究と鑑賞の視点−」
竹浪 遠(黒川古文化研究所 研究員)
京都:2月19日(土)
 関西には世界的にも名高い中国絵画の優品が多数収蔵されています。 様々な博物館、美術館に所蔵され展示公開されており、中国絵画を研究、鑑賞する上で大変恵まれた環境です。 今から約100年前、関西のコレクターたちが中国書画を収集していくのと平行して、京都大学をはじめとする学者たちの研究も進められてきました。 長大な歴史をもつ中国絵画は、込められた意味も表現も多種多様で、模写によって伝えられることも多く、古画には補修も加わります。 歴代の収蔵家の印や、文人たちの鑑賞の記録である題跋も付きます。それらは、研究に重要であると同時に、鑑賞をより深めてくれるポイントでもあります。 本講座では、関西の優品を多数とりあげ、それぞれの研究の蓄積と見所を紹介し、鑑賞の手引きとします。

(以上、『京都大学文学研究科主催 市民講座「関西中国書画コレクションと京都大学 −収集から一世紀、その意義を振り返る−」』(京都大学文学研究科、2011年1月15日発行)より転載。)
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